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ノルウェー/オランダを訪れて思ったこと

 

(株)神戸製鋼所 青野信尹

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空から見るスカンジナビアの景色は禿山にフィヨルドの入江が入り込みフィヨルド湖が点在する、何となく曇よりした空と挨まって、生活の厳しさを感じさせる。フュン島とシェラン島を結ぶ空から見たグレートベルト橋、ベルゲン空港着陸前には、Nordhordland橋が僅かに見えた。数カ月前にこの橋を見るチャンスはあったが、語学の弱い私にとっては言葉で悩むよりは!と辞退した行きさつがあり、実物を見ることになるとはと感無量であった。出発前まで、浮体構造物の報告書まとめで、Sulhus橋の名で、慣れ親しんだ橋であり、ノルウェーの技術者は思いきったことをするなと感心したものである。
実際、ノルウェーを訪れ、ノルウェー船級協会の権威の高さ=Det Norske Veritasには研究所やコンサルタント業務を行う部門がある。…ナルホド。また、ノルウェーは4大学だけで、技術者数も限られ常に産・官・学の共同体制でプロジェクトに対応している雰囲気がある=思い切ったことをする(The Norweigian oil industry is very aggressive in the world.:Mike Bowman,vice-president of DuPon Advanced Material Systems)…ナルホド。“百聞は一見にしかず”といわれるが、まさに、諺通りである。これらもやはり小人口の国で、“石油がある”ことによるものと予想する。
最近、完成した浮体橋梁2橋は石油関連の技術の産物そのものと思う。ただ、ここで、1つだけ気にかかることがある。Heidrun,Trollの主構造はコンクリート製である。しかも、それで使用しているコンクリートはスランプ22cm以上でσck:870?sf/cm2という代物で、1,000?sf/cm2近くの強度のコンクリートは実験室段階のものと思っていた私にはショックであった口それが浮体橋では、ポンツーン部は軽量コンクリートであるが、橋体部は何れも鋼製である。なぜ、鋼製にしたのだろうか?ジョイントの間題はあるが、よく分からない。KCCで聞いた“今後はコンクリートに限定せず、種々の材料を使って行きたい。”との言葉に通じるのかもしれないが。
Nordhordland橋の現場は波静かで、日本の湖でもこんな場所は捜すのに苦労するのではという思いがした。学生時代、風の吹送距離と水深が波高に影響を与える?との講義を思い出す。しかし、本橋の支承周りで、設計時の計算では大丈夫と判断した箇所が架設後変形を起こし、補強を行ったとの話を聞き、ちょっと意外な感じを持った。DnVの説明を聞いた時に感じたものであるが、こちらではあまり細かい計算は行っていないのか?或は限界状態設計法と応力度法との設計法に対する思考の違いか?ただ、安全率は充分取っているように思われた。そして、石油関連及び浮体橋梁のプロジェクトも1段落し、何となく元気がない感じを持った。華やかりし頃と現在はBergenの街の土曜日の夜の喧騒と平日の平穏さと対比できるのではと?
Bergenの土曜日の夜の人出は、こんなに人がいたのかと思うもので、いやはや大変な騒々しさであった。老若男女取り混ぜて、しかも夜の10時頃から明け方まで(私は1時頃には部屋に帰ったため未確認)大騒ぎである。ディスコなど年輩者の方が多く、日本のビルの2階だと床が抜けるのでは?と思う程の混雑であった。これは、港街特有の雰囲気かも知れないが、町並みは岸壁近くに並ぶ赤レンガのギルドの使った建物と山の斜面に並ぶ
 
 
 

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